Cursor Agentにゲーム実況のショート動画を任せる
くわっちさんがまず頼んだのは、すでに編集してあったダイジェスト版から盛り上がる場面を抜き出すショート動画の作成だった。指示して最初にできあがったのは、一つの戦闘シーンだけを続けて見せる動画だった。
くわっちさんが見せたかったのは、盛り上がった場面をいくつかつなげて本編も見てみたいと思わせる動画だった。そこで「一続きだけではなく、いくつかのシーンを合わせて」と追加で頼むと、Agentは日蝕・撃ち合い・大型の敵との戦い・死亡する場面という六つの場面をつないでショートを作り直した。
| 指示 | 最初の結果 | 追加の指示後 |
|---|---|---|
| 盛り上がる場面を抜き出す | 一つの戦闘シーンのみ | 六つの場面をつないだショート |
| ダイジェスト版を作る | 台詞や戦闘の一部が切れる | 該当箇所を戻した修正版 |
| 投稿まで任せる | - | YouTubeへのアップロードまで完了 |
「ここは入れてほしい」と言葉で伝えるだけで、そこから作り直してくれる。最初の動画が思っていた内容と違っても、編集方針を言葉で伝えることで簡単に修正できたとくわっちさんは振り返っている。同じ指示を繰り返す必要がなく、追加の一言だけで方向を変えられた点も扱いやすさにつながっている。
続けて、別の配信回からもショート動画の作成を頼んだ。YouTubeから元の動画を取得し、しゃべっている場面を中心にしたショート動画を作らせ、最後に中ボスに倒されて死んでしまう場面も入れるよう指示したそうだ。
もとの配信は三十五分四十二秒あり、できあがったショート動画は約七十一秒だった。長い配信から見どころだけを抜き出す作業を、自分で見返さずに済ませられたことになる。
同じ配信からダイジェスト版の作成も頼んでいる。冒頭と最後にバナーを入れ、フィラーや雑音、移動だけの場面はつまみ、戦闘と内容のあるしゃべりは残すという編集方針をプロンプトで渡したそうだ。
「こんにちは、くわっちです」という自己紹介の直後に、これもAgentに作らせたモーショングラフィックの入ったタイトルロールを差し込むようにも指示している。細かい演出の指定まで言葉で渡せる点は、思っていたより柔軟だったという印象を受ける。
これまでダイジェスト版は、視聴して音声を確かめながらDaVinci Resolveで自分の手で切っていたとくわっちさんは振り返っている。一時間の配信なら、確認するだけでほぼ一時間かかり、実際のカット作業やレンダリングを含めればそれ以上の時間がかかっていた。
Cursorが裏側でffmpegを動かす動画編集の仕組み
編集そのものは、Cursor AgentがMac mini上でffmpegを動かして進めたとくわっちさんは説明している。音の特徴と文字起こしを手がかりに残す場面を探し、切り出し、バナーやタイトルロールをつないでいく仕組みで、DaVinci Resolveの画面を操作したわけではなかったという。
FFmpeg公式サイトは、FFmpegがデコード・エンコード・トランスコード・多重化・配信・フィルタリング・再生まで、人や機械が作ったほぼあらゆる映像・音声形式を扱えるマルチメディア基盤だと説明しており、Agentが裏側で頼った技術の幅広さがうかがえる。
編集ソフトの画面を自分で操作しなくても、コマンドラインの道具を介して切り出しやつなぎ合わせができるという組み方は、DaVinci Resolveのような画面操作中心のソフトとは別の作業の仕方だといえる。
最初にできあがったダイジェスト版は二十二分三十六秒で、もとの三十五分四十二秒から約十三分短くなっていた。数字だけ見れば大きな短縮だが、くわっちさんが実際に見てみると、ゲームのキャラクターが話している場面が一部切れ、戦闘の一部も飛んで見えるという問題があった。
そこでくわっちさんは、キャラクターの台詞を途中で細切れにしないこと、戦闘が始まる場面も入れること、ムービーが流れる場面やアイテムを取る場面、石碑を壊す場面も残してほしいことをAgentに追加で伝えた。静かに移動するだけの場面は引き続きつまんでもらった。
修正版は二十七分十三秒になり、初版より四分半ほど長くなった。短くするために切りすぎた部分を戻してもらった結果であり、ファイルができたら確認して気になった場面を言葉で伝え、もう一度編集するという流れは、普段の仕事の進め方と変わらないとくわっちさんは述べている。
編集そのものを別のコマンドライン道具に任せるという組み方は、DaVinci Resolveの画面上でクリップを一つずつ動かす作業とは根本的に違う。人が操作の手順を踏む代わりに、Agentが音声や文字起こしの手がかりをもとに処理を組み立てている。
この仕組みが成立する背景には、映像・音声の処理をコマンドから一括して扱える基盤が広く普及していることがある。編集ソフトの画面を介さなくても、同じような切り出しやつなぎ合わせができる土台が、すでに整っているということだ。土台が共有の技術であるぶん、同じ発想を他の制作環境に持ち込むことも難しくない。
完成確認とアップロードまでAgentに任せた結果
修正版を確認したところ、だいたい問題なさそうだったとくわっちさんは書いている。最後に確認するのは自分だが、配信を見返して場面を探し短く切りつないでいた手間を考えると、大幅な時間短縮になりそうだと感じたという。
YouTubeへのアップロードもAgentに任せたと記録されている。編集から書き出し、投稿までの一連の作業を、自分で画面を操作せずに進められたことになる。投稿後の確認まで含めて、人が最後に目を通す工程だけが残った形だ。
これまでは、ダイジェスト版やショート動画を作るのが面倒だという理由で、配信そのものがとびとびになっていたともくわっちさんは振り返っている。面倒な工程を手放せたことで、実況を再開する動機が戻ってきたという変化は、ツールの性能以上に大きな意味を持つのかもしれない。
もちろん、最初の仕上がりには台詞が切れる、戦闘が飛ぶといった粗さがあった。Agentに任せても、確認の工程は欠かせない。完成までの手間は、確認と指示のやり取りという別の形に置き換わったと見るほうが実態に近い。
この記録から読み取れるのは、最初の仕上がりを確認し、気になった場面を言葉で伝えて作り直すという往復を前提にした使い方だ。完成までに何度かのやり取りを挟む姿勢が、結果として粗さを減らしている。一度で満足のいく結果を求めるより、何往復かで仕上げるつもりで臨むほうが現実的だろう。
編集ソフトの操作を覚える代わりに、どの場面を残したいかを言葉で正確に伝える力が問われる進め方だといえる。今後、同じような使い方を試す人が増えれば、指示の出し方そのものが一つのスキルとして語られるようになっていくのではないか。場面を言葉で言い表す練習を重ねるほど、Agentとのやり取りは短く済むようになるだろう。
配信を続けるかどうかという判断にまで編集の手間が影響していたという振り返りは、地味だが見過ごせない点だ。作業の負担を減らす工夫が、結果として配信の継続そのものを後押しすることもある。面倒さの正体を一つずつ減らしていく積み重ねが、長く続ける力につながっている。
Mac miniを常時稼働させ、Agentに仕事を頼むという環境を用意したこと自体も、今回の結果を支えている。導入の手間を払っただけの見返りがあったと受け止められる記録だといえる。離れた場所からでも仕事を頼める環境を整えたことが、今回の結果につながった土台でもある。
AI編集部のつぶやき