動画編集者のさおりさんが、Seedance 2.5を中心にAI動画生成へ実際に支払った金額と、生成で消えたクレジットの内訳を公開している。
今日気になったこと
あなたがAI動画生成を始めるなら、月にいくらまで使えるだろうか。さおりさんは子育てをしながらフリーランスで動画編集をしてきた人で、個人向けの編集では一本あたり数万円の仕事を受けてきた。ただしAI動画生成による売上は、今のところまだない。この記録は成功談ではなく、始める前に知っておきたい実際にかかるお金の記録だと断っている。
| 工程 | さおりさんが使うツール | 費用で気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 動画生成 | HiggsfieldでSeedance 2.5 | クレジット制で作り直すほど消費する |
| 画像と音楽 | Midjourney、Suno | 月額は小さくても積み重なる |
| 企画と文章 | ChatGPT、Claude | 複数契約すると固定費が膨らむ |
| 編集 | Adobe Creative Cloud | AIから始めても編集ソフトは必要 |
| 保存 | SSD | 固定費ではないがバックアップは複数必要 |
先に結論として示されているのは、自分の契約を月額に直すと、合計で月二万円近くになるという数字だ。AI動画生成のために追加したツールが月一万四千円ほど、以前から使っている編集ツールが月四千五百円ほど。年間では二十二万円を超え、保存用のSSDの購入まで含めると、同じ年に必要なお金は二十五万円ほどになったと笑いまじりに書いている。
追加したツールの内訳は具体的だ。動画生成にはHiggsfield、画像生成にはMidjourney、音楽にはSuno、企画やプロンプト作りにはChatGPTとClaudeの有料プランを使っている。Higgsfieldは初回のキャンペーンを利用して年額で契約し、それでも月に換算すると五千円ほどになる。
編集ツールはAdobe Creative Cloudをキャンペーン価格で使い続けている。テロップ用のVrew、動画素材のサイト、BGMや効果音のサイトは解約済みだ。この一年でよく使う素材はダウンロードでき、生成AIへの課金で不要になったからだ。
それでも、動画編集の経験がなくAI動画生成から始める場合も、編集ソフトの課金は必要だろうとさおりさんは見ている。個人ならCapCutなどが始めやすいが、有料版を使うのがおすすめだと書いている。生成しただけでは作品にならず、つなぎ、字幕を入れ、音を整える工程は残る。
見落としがちなのが保存の費用だ。動画データは容量が大きく、素材を集めるとスマートフォンもパソコンもすぐにいっぱいになる。さおりさんは容量の違うSSDを二台買っている。
過去に素材一式を入れた小さなハードディスクを落としてデータを失った経験があり、複数のバックアップは本当に重要だと強調している。
こうして並べると、AI動画生成の費用は、生成サービスの料金だけでは語れないことが分かる。画像、音楽、文章、編集、保存と、制作の工程ごとに少しずつ費用が積み重なる。月額はそれぞれ小さくても、合計すると無視できない固定費になる。
ここがポイント
この記録のポイントは、生成一回あたりの費用まで割り出している点にある。さおりさんが使ったのは、HiggsfieldというサービスでSeedance 2.5という生成モデルを選ぶ形だ。サービスは動画を作る場所で、モデルはその中で選ぶソフトの版のようなもの、という説明は、初心者がつまずきやすい所を丁寧にほどいている。
ByteDance Seedの公式ブログによると、Seedance 2.5は音声と動画を秒単位で狙って編集でき、効率と制御性を大きく高めたとされる。同じサービスの中でも、モデルによって映像の特徴、生成できる秒数、画質、消費するクレジットが違うので、どのモデルを選ぶかがそのまま費用に効いてくる。
クレジットは、生成するたびに消費するポイントだ。月額や年額を払っていても、無制限に作れるわけではない。さおりさんがSeedance 2.5で確かめたところ、標準的な画質の三十秒動画は一回で百九十五クレジット、フルHDの三十秒動画は二百七十クレジットを消費した。単純計算では、手元のクレジットで三十秒動画を数本作れる量だ。
ところが実際には、条件を変えながら生成を続けたところ、三時間ほどで千二百クレジットほどを使い切り、登録時に配られた一か月分があっという間に消えた。生成した七本ほどのすべてが完成品になったわけではない。イメージと違う、人物の動きが不自然、構図を変えたい、別の指示で作り直したい。こうした理由で作り直しが重なる。
年額の支払いから一クレジットあたりの単価を出すと、キャンペーン価格で四円ほどになる。すると標準画質の三十秒は一回八百円あまり、フルHDの三十秒は一回千百円あまりの計算だ。フルHDで十回作り直せば、それだけで一万円を超える。通常価格なら単価はさらに上がる。
作り直しが費用を決める、という実感は、開発元の説明とも重なる。ByteDance Seedの公式ブログは、より正確で信頼できる編集機能によって、作り手が意図どおりに形にでき、効率が上がり、繰り返しの生成のコストが減ると説明している。裏を返せば、繰り返しの生成こそが制作費の大きな部分を占めているということだ。
だからこそ、何本生成できるかではなく、完成までに何回作り直すかで費用を見積もる必要がある。最終的に使う動画が一本でも、そこに至るまでの失敗や作り直しにもお金がかかっている。
仕事の単価との比較も示されている。個人向けの編集では、短い動画は一本数千円、長い動画でも一本数万円程度が相場だ。AIで一から動画を作るなら、企画と台本、プロンプト作り、生成と素材作り、編集とテロップ、修正、納品まですべてが必要になる。撮影も場所代も衣装代もいらない強みはあるが、完成までのコストは作り手次第だとさおりさんは書く。
動画を作る側から見ると?
AI動画生成を仕事にしたい人がまずやりたいのは、自分の月々の固定費を一覧にすることだ。生成サービス、画像、音楽、文章、編集、保存の順に、今払っている金額と、これから足そうとしている金額を書き出す。月額に直して合計すると、売上の目標とどれくらい離れているかが見えてくる。
次に、一回の生成あたりの金額を出しておく。年額や月額の支払いを付与されたクレジットで割り、よく使う画質と長さの消費量を掛ければいい。この単価が分かっていれば、案件の見積もりに作り直しの回数を織り込めるし、どこまで試行錯誤してよいかの目安にもなる。
モデルの選び方も費用の管理に直結する。Seedance 2.5のように、音声と動画を秒単位で狙って編集できる機能を持つモデルなら、気になる部分だけを直すことで作り直しの回数を減らせる可能性がある。高い画質で試す前に、低い画質で構図や動きを固めてから本番を生成するのも有効だ。
さおりさんは、始める前に決めたいことを三つ挙げている。一つ目は、誰のために作るのか。自分の趣味か、交流サイトへの投稿か、個人向けの仕事か、企業向けの仕事かで、必要な品質や修正の回数が変わる。
二つ目は、毎月いくらまで使えるのか。最初から複数のツールを年額で契約すると、使いこなせなくても料金がかかる。
三つ目は、いくらの売上を目指すのかだ。月数万円を目指すのか、月数十万円を目指すのかで、必要な環境もお客さんも違う。企業向けの仕事は単価が高い分、品質と速さが求められ、ツールやパソコンの性能への投資が要る。個人向けは単価を上げにくいが、継続して投稿する相手なら定期的な仕事になる。
まずは無料版や月額のプランで試し、必要なものだけを残す、という順番も勧められている。キャンペーンにつられて年額で契約すると、目的が決まらないまま固定費だけが増える状態になりやすい。楽しむだけなら無料でも十分にできる、という一言は、流行に焦る人ほど覚えておきたい。
編集については、オールAIより、多少なりとも人の手を入れる必要があると感じている、というさおりさんの実感も見逃せない。生成の費用を抑えるには、生成で全部を完成させようとせず、編集で補える部分は編集に任せるという役割分担も考えられる。編集の経験は、AI動画でもそのまま武器になる。
ツールの内訳を出してみて自分でも震えた、とさおりさんは書いている。AI動画を始めるハードルは下がったが、続けるための費用は決して小さくない。流行だからと勢いで課金する前に、経費と自分の稼ぐ目標を並べて考える。その一手間が、後悔しない始め方になる。
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