崩れやすい動かし方と安定する見せ方
| 要素 | 崩れやすい動かし方 | 安定しやすい見せ方 |
|---|---|---|
| 人物 | 手足を大きく動かす、歩かせる | 小さな動きにとどめ、髪や布を揺らす |
| 画面の派手さ | 人物の演技で出そうとする | 花びら、光、色の面を飛び込ませる |
| カメラ | 指示が曖昧なまま動かす | いつどの方向に動くかを言葉にする |
| 元の絵 | 画面いっぱいに描き込む | 動き出せそうな余白を残す |
| シリーズ | 毎回別の画像から作る | キャラクターの画像を素材として登録する |
最初の一本が出てきた瞬間の驚きから、この記録は始まる。書き手は以前にもGoogle Flowを少しだけ試したことがあったが、そのときは何か作りたいと思えるほどのものはできず、そのまま触らなくなっていた。動画生成AIには、一度触ってみたけれど思ったほどでもなかった、という印象のまま止まっていた。
久しぶりに開くきっかけは、なぎ太さんの記事だった。理科の先生でもあるなぎ太さんが、うまくいかなかった動画生成にFlowで再挑戦しており、キャラクターを動かすのは意外とあっさりできたが、狙った現象を正確に作ろうとすると一気に難しくなる、と書いていた。それを読んで、自分の契約でもFlowが使えることを思い出した。
書き手が今回狙ったのは、最初からPVっぽい動画だった。数秒しかないからこそ、その数秒でどこまでおっと思わせられるか。この狙いが、後の工夫の方向を決めている。
一本目は、ブログに登場するあかりとコバンのキャラクター紹介のPVだ。数秒の中で画面が切り替わり、キャラクターが大きく見え、色の面や光が飛び込んできて、最後に決めのカットらしくまとまった。短い映像の中にちゃんと演出があり、以前の印象とはかなり違っていた。
Google Flowの公式ヘルプは、画像を動かすことに加え、文章の指示、素材、フレーム、ほかの動画から動画を作れると案内している。書き手のように手元の一枚絵を起点にする使い方は、この機能の中でも最も入りやすい入口だろう。
特に気に入ったのは、瞬くように画面の展開が変わるところだった。数秒しかないのに、PVを見たという感覚が残る。三本作ったうちで今のところ一番好きなのがこの一本目だ、と書き手は振り返っている。
同時に、この一本目を見て逆に気づいたこともあった。ただ歩いているだけ、ただ手を振るだけの動画では、短い尺ではやはり弱い。ショート動画は数秒でどれだけ魅せられるかがかなり重要だ、という実感が、二本目以降の作り方を変えている。
動き出せそうな余白のある絵を用意する
人物そのものを激しく動かすのではなく、カメラ、色、光、背景、花びら、小さな相棒の動き、構図の切り替えでPVらしさを作る方向に切り替えた。二本目は、部活帰りの放課後のような青春アニメの空気で、休憩中の一枚絵から爽やかな映像を作った。
二本目では、風、髪、タオル、カメラの動き、ポップな色片、相棒の動きを組み合わせた。一本目より柔らかいが、ただの静かな映像にはしたくない。そのさじ加減を探る中で、書き手は元の画像の作り方も動画の出来にかなり影響すると感じ始めている。
この直後に動き出せそうという余白がある絵のほうが動画向きだ。すべてが画面いっぱいに描き込まれた絵は、動かすと崩れやすい。動かす場所をあらかじめ残した絵を用意することが、生成の前段の準備になる。
三本目は、青空、海、花びら、光を使った、王道のアニメPVらしい開放感のある構成にした。ここでは人物の大きなアクションより、背景とカメラと空気感で見せることを意識している。キャラクターを大きく動かさなくても映像はかなり派手にできる、というのが三本目で分かったことだ。
むしろ手足を無理に動かすほど破綻しやすい。だから、髪を動かす、花びらを飛ばす、相棒を跳ねさせる、カメラを動かす、光を変える。そういう方が、安定しながらPVっぽさを出しやすい。
それでも、狙った映像を作るのはかなり大変だった。PVみたいにしたい、最初から動いていてほしい、数秒で画面展開を切り替えたい、最後に決めカットがほしい。こうした注文を入れると、一気に難しくなる。Flow自体も最初は分かりにくく、何をどこまで指示すればいいのか、さっぱり分からなかった。
一番苦労したのは機能そのものより、自分の頭の中の映像をどう言葉にするかだった。PVっぽくだけでは弱いし、カメラを動かしてでも弱い。どのタイミングで、何が、どの方向に、どれくらい動くのか。
そこまで考えないと、思っていたのと違う動画が出てくる。首が変になる、手足が崩れる、服装が変わる、最初に静止画が見えてしまう、といった問題もいろいろ起きた。
途中で別の会社の動画生成モデルも無料枠で試したが、今回はうまくいかなかった。書き手は、自分の指示文がそのモデル向けになっていなかった可能性が高いと冷静に見ており、動画生成AIはモデルごとにかなり癖が違うのだろうと受け止めている。
指示文にいつ・何が・どこへを書く
手元の一枚絵から短いPVを作りたい人は、まず動かす場所を決めてから指示文を書くといい。人物は小さな動きにとどめ、髪、布、花びら、光、背景、カメラのどれを動かすかを選ぶ。派手さは人物の演技ではなく、画面の周りの動きとカメラで作る、と決めておくだけで破綻はかなり減る。
指示文には、いつ、何が、どの方向に、どれくらい動くのかを書き込む。冒頭から動いている、途中で画面が切り替わる、最後は寄りの決めカットで止まる、というように、数秒の中の時間の流れを言葉にしておきたい。雰囲気だけを書くと、狙いと違う映像が返ってくることが多い。
元の絵を用意する段階でも工夫ができる。キャラクターの周りに空や背景の余白を残し、風で動く髪やタオル、飛ばせる花びらのような要素を最初から描き込んでおく。この直後に動き出せそうな絵を意識して作れば、生成の成功率が上がるはずだ。
同じキャラクターで何本も作るなら、見た目の一貫性にも気を配りたい。Google Flowの公式ヘルプは、素材の機能を使えば、キャラクターや主要な物の同じ画像をカットからカットへ一貫して使えると案内している。シリーズでPVを作るときは、キャラクターの画像を素材として登録しておくと、服装が変わるような崩れを防ぎやすい。
ここからは余談になるが、書き手はできた動画の置き場所として、ブログに埋め込みやすいYouTubeへ上げることにし、チャンネルを新しく作った。名前やアイコンなど一つずつ決める作業に思ったより時間がかかったという。
公開してみると、同じ日に出した似た長さの三本のうち一本目だけが百回を超えて再生され、残り二本は数回にとどまった。書き手が三本の中で一番気に入っていた一本目がよく見られたことから、作り手自身が面白いと感じた映像ほど届きやすいのかもしれないと見ている。誰かの記事を読んで自分もやってみようと思い立ち、紹介すると約束したことがバネになった、と書き手は締めくくっている。
AI編集部のつぶやき