テロップ・色・カットの間・音、四つの失敗
見づらい動画を直そうとして演出を足すほど、画面が落ち着かなくなる。そんな悪循環に心当たりのある人は多いはずだ。Nomoさんは、初心者の動画が整って見えない理由はエフェクトの量ではなく、テロップの情報量、フォントと色の統一、カットの間、声とBGMの釣り合い、素材ごとの色の差、AI補正の使いすぎ、書き出し後の確認不足にあると整理している。
テロップに話した言葉を全部乗せる
一つ目の失敗は、話した言葉を全部テロップにすることだ。自動文字起こしを使えば字幕はすぐにできるが、それがそのまま読みやすい文字になるとは限らない。長い一文を一度に出すと、スマートフォンでは読み終わる前に画面が切り替わってしまう。
| 見直す部分 | よくある失敗 | 直し方 |
|---|---|---|
| テロップ | 話した言葉を全部文字にする | 結論や手順、固有名詞を優先して短くする |
| 色と文字 | 場面ごとに色やフォントを変える | 通常色と強調色に絞り、フォントは二種類まで |
| カットの間 | 無音を全部削る | 結論の直前や話題の切り替わりの間は残す |
| 音 | BGMを先に決めて声が埋もれる | 声を基準にBGMを下げ、イヤホンとスピーカーで聞く |
| 書き出し | 編集画面だけで確認する | 書き出した実物をスマートフォンで最後まで見る |
そこでNomoさんは、結論、数字、手順、固有名詞、聞き取りにくい言葉を優先して文字にするよう勧める。自動で作った字幕も、誤字、固有名詞、句読点、改行の位置は人が確かめる。機械に下書きを任せ、仕上げは人が持つという線引きが最初から示されている。
フォントや色を場面ごとに変える
二つ目は、フォントや色や飾りを場面ごとに変えることだ。目立たせたい気持ちから色を何種類も使うと、どこが大事なのかがかえって分からなくなる。通常の文字は白に暗い縁取り、強調はアクセントの色、注意や否定だけ赤系という三つで十分だとしている。
フォントも通常用と強調用の二種類に絞れば、全体の統一がとりやすい。色を選ぶ基準は派手さより、背景との差と読みやすさだ。この考え方は、テロップの見た目で悩む時間そのものを減らしてくれる。
無音を全部削ってカットを細かくする
三つ目は、無音を全部削ってカットを細かくしすぎることだ。テンポを上げたいあまり息継ぎまで切ると、話し手が落ち着かない映像になる。削るのは言い直し、繰り返し、中身のない沈黙、準備中の映像、操作ミスで、結論の直前や話題の切り替わり、考えてほしい場所の間は残したほうが自然だ。
トランジションも、カットのたびに入れる必要はない。時間、場所、話題が変わる場面に限れば、演出の意味が伝わる。何でも入れられる時代に、入れる場所を選ぶことが見やすさに直結する。
BGMを先に決めて声が埋もれる
四つ目は、BGMを先に決めて声が聞き取りにくくなることだ。Nomoさんの勧める順番は、まず声だけを再生して聞き取りにくい部分を探し、必要なら音質を整え、それからBGMを足し、声を邪魔しない位置まで下げるというもの。最後にイヤホンとスピーカーの両方で聞き比べる。
色の差・AI補正・書き出し確認、残る三つの失敗
足すことより減らすことで見栄えを整える、というのがこの記事の発想だ。
素材ごとの色の差をフィルターだけで済ませる
五つ目の失敗として挙げられているのは、撮影場所や時間帯の違う素材に、同じフィルターだけをかけて済ませることだ。フィルターをかけても、素材ごとの明るさや色温度の差は消えない。
整える順番は、明るさ、ホワイトバランス、コントラスト、彩度で、雰囲気作りは必要なときだけ最後に行う。Premiere ProのLumetriカラーで調整できる項目だが、カラーマッチの機能を使っても、人の肌や商品の色は目で確かめるよう念を押している。映画風の色より、隣り合うカットの明るさをそろえるほうが先だ。
AI補正やエフェクトを全部使う
六つ目は、AI補正やアニメーションやエフェクトを全部使うことだ。ここでNomoさんが示す問いが分かりやすい。その演出がなくなると、視聴者は内容を理解しにくくなるか。答えが変わらないなら、それは削る候補になる。
残しやすいのは、大事な場所を示すズーム、操作箇所を示す枠や矢印、章の切り替わりを伝える見出し、音声だけでは分かりにくい内容の図解だ。逆に、カットごとに違うトランジション、動き続ける文字、意味のない画面の揺れ、内容と関係のない生成映像、強すぎる美肌や音声の補正は削りやすい。
AIが提案した演出も、目的や事実、著作権、依頼主の決まりに合っているかは人が判断する。便利な提案をそのまま受け入れず、一つずつ理由を問う。この姿勢が、テンプレートに頼った動画と、意図のある動画を分けるのだと思う。
編集画面だけで確認して納品する
七つ目は、編集画面だけで確かめて納品することだ。編集画面で問題がなくても、書き出した動画には、冒頭や末尾の黒い画面、一瞬だけ映る不要な素材、画面端で切れる文字、急に大きくなるBGM、音と映像のずれ、指定と違う形式や名前が残ることがある。
書き出した実物を最初から最後まで再生し、縦型ならスマートフォンでも見る。YouTube公式ヘルプは、パソコンやスマートフォンに保存した縦型の動画をShortsとして投稿できると案内している。縦型の動画は最終的に手元の小さな画面で見られる前提なので、同じ画面で確かめる手順は外せない。
記事には、三十秒の動画を例にした直す前と後の対比もある。全文テロップを結論と数字だけに、五色の文字を二色に、カットごとのトランジションを直接のカットに、声と同じ大きさのBGMを声基準に、ばらばらの明るさを先にそろえ、三つあった行動の呼びかけを一つに絞る。どれも足すのではなく減らす修正だ。
納品前三十分でテロップ・色・音を最終確認する
すぐに使えるのは、納品前の三十分を六つの時間に区切る手順だ。最初の五分は止めずに一度見て、気になった所をメモするだけにする。直す項目は重要度の高い三つまでに絞る。見ながら直し始めると、全体の印象が分からなくなるからだ。
次の五分でテロップの誤字、文字量、改行、表示時間、画面端を確かめる。その次に声、BGM、効果音の順で音を聞き、音量が急に変わる場所を探す。続いて隣り合う素材を並べて明るさとホワイトバランスをそろえ、目的を説明できないエフェクトやズームを外す。
最後の五分でテスト書き出しをして、スマートフォンで文字、音、画面の比率、冒頭と末尾を確認する。YouTube公式ヘルプが示すように、縦型の動画は端末に保存した状態からShortsとして投稿できる。投稿する端末と同じ条件で見ておけば、編集画面では気づけなかった粗が見つかる。
記事は、AIに確認項目を整理させる指示文も載せている。動画の目的、掲載する場所、尺と画面比率、編集内容を書き込み、テロップ、映像、声、音楽、色、著作権、個人情報、書き出し設定に分けてチェック表を作らせる。動画を見なければ判断できない項目には、人が完成品を確認と表示させる工夫がある。
推測で条件を補わないよう指示する一文も含まれていて、AIの使い方として堅実だ。AIが作った表で検品を終わらせず、最後は人が再生して確かめる。道具に任せる範囲と人が持つ範囲を分けている。
今日すぐに試せることとして、Nomoさんは一本の動画を選び、テロップの文字量を三割減らす、BGMを消して声だけで最後まで聞く、目的を説明できない演出を一つ削る、の三つを勧めている。直す前と後を両方書き出して見比べれば、何を減らすと見やすくなるかが体で分かる。
なお記事の後半には、編集の学習講座の紹介と提携リンクが含まれている。講座を選ぶかどうかは別として、読む側としては、七つの失敗と三十分の手順という無料で使える部分を持ち帰れば十分だろう。
編集ソフトの機能は年々増えていくが、見やすさを決める基本はそれほど変わらない。演出を足したくなったときほど、一度引いて全体を見る。その習慣を持つだけで、同じ素材からでも落ち着いた動画が作れるはずだ。
AI編集部のつぶやき