売れる動画の四段構成
挨拶から入り、企業のロゴを見せ、商品をゆっくり映して機能を順に説明する。他の媒体では正しいこの作り方が、TikTokでは冒頭の数秒で見送られてしまう、と記事は書く。理由は、視聴者が商品を探している人ではなく、たまたま流れてきた動画を見ている人だからだ。
買う気のない人の指を止めるところから始めなければならない以上、必要なのは説明ではなく別のものになる。記事はそう前置きしたうえで、TikTok Shopで成果につながる動画の構成と、生活感のある投稿を増やす方法、数字での振り返り方を順に解説している。記事は、TikTok Shopの出店支援やクリエイター連携を事業にしている株式会社LEAM自身によるものだ。末尾には相談窓口の案内も付いている。宣伝を兼ねた記事であることを前提にしつつ、構成の型や数字の見方という、ほかの販売者にも使える部分を中心に読んでいきたい。
| 見る数字 | 分かること | 止まっているときに直す場所 |
|---|---|---|
| 再生数 | 冒頭の入り口が機能しているか | 最初の数秒の問題提起や意外性 |
| 商品クリック率 | 動画と商品の関連や導線が機能しているか | 動画の後半と商品の結びつき |
| 購入率 | 商品ページ側に問題がないか | 動画ではなく商品ページ |
成果が出ている動画は、おおむね同じ流れで組み立てられているという。驚きや疑問、共感で指を止める入り口、視聴者が抱えている悩みの言語化、その答えとしての商品の登場、そしてカートやリンクへの導線だ。商品から始めるのではなく、悩みから始めて商品にたどり着く順番が重要だとされる。
とくに最初の数秒の使い方が強調されている。伸びない動画の多くは、最も貴重な冒頭を挨拶や意味の薄いカット、商品のゆっくりとした映像に使ってしまっている。冒頭に置くべきは問題提起か意外性で、続きが気になる入り方を設計してほしい、というのが記事の助言だ。
売れる動画は商品を説明しているのではなく、体験を伝えている、という指摘も具体的だ。同じ美容液でも、成分や容量を並べるのではなく、朝起きたら肌が乾いているという状態から、使ったら夕方まで潤いが続いたという変化を見せる。視聴者は説明には共感しないが、自分にも起きている状態には共感する。
一本の動画で一つの商品に絞る、という原則も示されている。複数の商品を紹介すると伝えたいことが分散し、視聴者の理解が追いつかない。特に立ち上げの時期は、一本一商品に絞るほど訴求がはっきりし、その商品への購入意欲も高まりやすいという。
それでも、動画の作り方を売上の数字と結びつけて語っている点は、単なるノウハウ集とは違う。どこで視聴者が止まり、どこで離れ、どこで買わずに去るのかを分けて考える姿勢が、記事全体を通して一貫している。
UGCを意図的に増やす三つの方法
動画の中身だけでなく、動画を増やす仕組みと、当たった動画の使い道まで一つの流れとして描かれている。TikTokでは、作り込まれた広告動画よりも、生活感のある利用者の投稿、いわゆるUGCのほうが伸びる傾向があると記事は書く。
縦の撮影、自然光、本人の声、少し素人っぽい編集。こうした手触りが広告らしさを打ち消し、視聴者の警戒心を解く。ただしUGCは待っていても生まれないので、意図的に生み出す仕組みが必要だとして、商品の配布、購入者の感想動画の許諾を得た再利用、社員や代表自身による撮影という三つの方法を挙げている。
どの動画が当たるかは事前に読み切れないため、本数を積むこと自体が戦略になる。とはいえ自社だけで週に何本も作り続けるのは現実的ではない。そこで成果報酬型で多くの発信者に紹介してもらう連携によって、自社の制作体制を超えた本数を確保する、という考え方が示されている。
続いて詳しく書かれているのが、反応の良かった動画の扱いだ。TikTok Shopの広告には、すでに通常の投稿として実績のある動画をそのまま広告として配信できる仕組みがあり、自然な雰囲気のまま流せるため、広告らしさを嫌う視聴者との相性が良い、と説明されている。
TikTok for Businessの公式ブログも、この仕組みをSpark Adsとして案内している。公式ブログによると、Spark Adsは通常の投稿を後押しすることで、本物らしさを生かして広告主が視聴者に届けられる、ネイティブな広告形式だという。
動画制作は、当たりを引くまで出すだけでなく、当たった動画に予算を乗せるところまでが設計に含まれる。作ることと広告に回すことを別々の仕事として扱うのではなく、一続きの循環として捉え直している。
Spark Adsのように通常の投稿を後押しする広告形式が用意されていることは、作り込みすぎない動画を作る意味も変える。広告のために別の動画を作り直すのではなく、すでに視聴者に受け入れられた投稿の本物らしさを、そのまま広告に生かせるからだ。数字の振り返り方は三段階に分かれており、どこで止まっているかを特定してから手を打つよう指示している。
数字は再生・クリック・購入で切り分ける
販売者の立場で動画を作る人にとって、まず使えるのは構成の型だ。入り口、悩み、答えとしての商品、導線という四つの段階を台本の枠として用意しておけば、毎回ゼロから考えずに済む。一本一商品の原則と合わせれば、企画の迷いはかなり減るはずだ。
撮影の段階では、作り込みすぎないことを意識したい。照明を整え、きれいに編集した動画ほど広告らしく見え、視聴者の警戒心を呼び起こしてしまう。社員や代表がスマートフォンで撮った素朴な動画のほうが、かえって指を止めることがある。
数字の見方では、再生数が伸びているのに商品クリックが少ないなら、原因は動画の後半か商品との関連にある。クリックは多いのに購入されないなら、動画ではなく商品ページの問題だ。この切り分けを習慣にするだけで、動画を闇雲に作り直す無駄が減る。
反応の良かった動画を見つけたら、Spark Adsのように通常の投稿を後押しする広告形式で予算を乗せることを検討したい。公式ブログが示すとおり、通常の投稿の本物らしさを生かせる形式なので、自然な雰囲気の動画ほど広告に回したときの違和感が小さい。
購入者の感想動画を再利用する場合は、許諾を取る手順を必ず決めておきたい。記事も許諾を前提にしている。発信者に紹介を依頼する場合も、報酬の条件や表示の扱いを事前に取り決めておかないと、後から信頼を損なう原因になる。
また、そもそも動画で魅力が伝わりにくい商材もある、と記事は率直に書いている。その場合はカテゴリーの選び方から見直す必要がある。動画の工夫だけで売上を立てようとせず、商材と媒体の相性を先に確かめることも、販売者の判断材料になる。
投稿の頻度についても、継続的に出すことでおすすめに乗りやすくなるという目安が示されている。ただし本数を追うあまり、一本ごとの型が崩れてしまっては意味がない。型を守れる範囲で本数を積み、当たった動画に予算を集めるという順番を崩さないようにしたい。
TikTok Shopに限らず、縦型の短い動画で物を売る場面では、同じ考え方が通用する。悩みから入り、体験を見せ、一本に一つの商品を絞り、数字を三段階で見る。この基本を身につけておけば、媒体が変わっても応用が利く。
AI編集部のつぶやき