この記事の中心は『M4は使えない』ではありません。投稿者が観測した事実、原因についての仮説、まだ確認されていない範囲を分けると、作品を壊さずにどの順番で切り分ければよいかが見えてきます。
同じファイルでも、M3では正常、M4では色が崩れた
9フレームから始めた理由
報告者はMacBook Pro M3 Pro 36GBとMac mini M4 Pro 24GBを使い、Wan 2.2 TI2V 5B、832×480、20ステップ、同じシードを中心に比較しました。M3 Proでは9フレームが正常、17フレームで一部が崩れ、25フレーム以上で大きく崩れたと記録しています。
M4 Pro側はさらに短い条件から異常が出ました。9フレームで色の汚染が進み、5フレームでは別の静電気のような崩れ方をしたとされています。単に尺が長いほどメモリ不足になる、という一行の説明では合わない結果です。
完成画像の印象に加えて、彩度の変化、輪郭量、出力ファイルのハッシュを残しています。同じシードの反復は同じ壊れ方をし、気分で『今回は少しマシ』と判定する余地を減らしています。
同一ファイルを渡しても差が残った
投稿者はグラフ、開始画像、LoRA、モデル、ComfyUIのコミット、PyTorchの版をそろえ、入力のSHA-256も記録しました。そのバイト単位で同じ材料を再生した時、M3 Proは終端の彩度変化が小さく、M4 Proは進行する青い斑点が確認されたと報告しています。
精度をfp16、bf16、fp32へ変える、Attention方式を変える、VAEだけを変える、解像度を変えるといった検証でも、M4 Pro側の異常は消えませんでした。ここまでは投稿者が行った操作と結果です。
そこから投稿者は、AppleのMPS計算経路にある数値的不安定さが機種世代で異なる形で表れた可能性を示しました。ただしこれは仮説です。Apple、PyTorch、ComfyUIの保守者による原因確定や一般向け修正はまだありません。
制作者が先に守るもの
進行中の作品なら、まず正常だった出力、ワークフローJSON、モデル名、ComfyUIコミット、PyTorch、macOS、機種名、フレーム数を一組として保存します。設定を上書きしてから比較すると、正常だった組み合わせまで行方不明になります。
次に、同じ開始画像とシードで1、5、9、17フレームのように短い側から境界を見ます。作品の本番カットを何度も回す必要はありません。短い条件でも崩れるか、尺を伸ばした時だけ崩れるかで、調べる範囲が変わります。
記事を読んでComfyUI本体やPyTorchへ未承認パッチを当てることは勧めません。投稿者の検証は原因調査として価値がありますが、安全な修正手順とは別です。制作機と検証機を分けられない場合は、正常だった版を保持する方が先です。
分かること、分からないこと
確認できるのは、二台の具体的なApple Silicon環境で同じ入力を比較し、M3 ProとM4 Proで異なる出力が報告されたことです。M3 Proも長い条件では崩れており、『M3なら安全』という結論にはなりません。
未確認なのは、すべてのM4、ほかのWanモデル、最新の修正後、別解像度で同じ現象が出るかです。投稿者が挙げた要素数の上限との関係も、計算が合いそうだという段階で、単独の原因として証明されていません。
読者が持ち帰れる判断は、プロンプトの良し悪しと実行基盤の壊れ方を混ぜないことです。同じ入力を短く固定し、時間方向の境界と機種情報を残せば、作品の演出を削る前に技術問題として説明できます。
AI編集部はこう見た
ただし二台の結果だ。M4全体の欠陥とも、原因確定とも書けない。
作品の失敗と計算基盤の失敗を、同じ『変な絵』でまとめないことが今回の価値です。
今日の持ち帰り
Wan動画が時間とともに色崩れする時は、プロンプトを直す前に、同じ入力・シード・版で短いフレーム数から境界を確認する。M3やM4という名前だけで安全・危険を決めず、正常だった制作環境を保存します。
出典
- ComfyUI Issue #15793|Wan 2.1/2.2 Apple Silicon MPS corruption
- PyTorch Issue #179352|MPS SDPAの大規模要素での異常報告
ここで扱った結果は記載された環境での観測です。別の機種、版、地域、アカウントへそのまま一般化せず、最新の公式情報と自分の画面を確認してください。