
今は「8bit機の救世主」&「編集の時短」として活用するのがベスト
かつてα7 IIIの時代に大流行したピクチャプロファイル「HLG(PP10)」。
現在では10bit対応機(α7S IIIなど)が主流になり、メインプロファイルはS-Log3へと移行しつつあります。
しかし、「8bit機での階調破綻を防ぐ」「編集の手間(カラーグレーディング)を最小限に抑えて高画質を得る」という
目的においては、HLGは今でも最強の選択肢だと感じています。
「もう古いプロファイルでしょ?」と思われがちなHLGですが、実は使い方次第でまだまだ現役です。
今回は、私自身の機材変遷を振り返りながら、現在におけるHLGの立ち位置と、実践的なベスト設定をご紹介します。
私の機材変遷とプロファイルの使い分け
過去(α7 III時代)
8bit収録でも白飛びしにくく、カラーグレーディングの耐性が高い万能プロファイルとして、日々HLGをメインに大活用していました。
当時のα7 IIIは10bit収録に対応していなかったため、S-Log3を使うとどうしても色データがバンディング(階調の段差)を起こしやすく、
扱いに苦労した記憶があります。その点、HLGは適度なダイナミックレンジと安定した色再現を両立できる、非常に頼れる存在でした。
現在(α7S III時代)
10bit(4:2:2)収録が可能になったことで、YouTubeチャンネル「旅するビデオグラファーSaruko」のメイン映像では、
S-Log3(またはS-Cinetone)をベースにカラーグレーディングを行うようになりました。
10bitならではの階調の豊かさを活かし、じっくり色を作り込めるようになったのは大きな進化です。
現在のHLGの役割
とはいえ、HLGを手放したわけではありません。サブ機での撮影や、「編集時間を徹底的に短縮(時短)しつつ、
ノーマル(PP0)以上のダイナミックレンジが欲しいとき」には、今でも現役で活躍しています。
忙しい撮影の合間や、スピーディーに投稿したい動画では、HLGの「編集が楽」という強みが光ります。
【現在版】HLGとS-Log3の賢い使い分け
HLG(PP10)がベストなシチュエーション
- α7 IIIなどの「8bit収録」のカメラを使っており、S-Log3だと色データが破綻(バンディング)しやすい場合
- 編集作業を効率化(時短)して、テンポよく動画を投稿したい場合
S-Log3がベストなシチュエーション
- α7S IIIやα7 IVなどの「10bit収録」ができるカメラを使っている場合
- 編集(カラーグレーディング)に時間をかけ、独自のシネマティックな色世界を作り込みたい場合
つまり、「機材のビット深度」と「編集にかけられる時間」の2軸で考えると、自分に合ったプロファイルが自然と見えてきます。
今すぐ使える!失敗しない現在のHLGベスト設定
私が今でもHLG撮影を行う際の、実践的な設定値と運用のコツをまとめます。
ピクチャプロファイル:PP10
ガンマ:HLG3 HLG1〜4の中で、ダイナミックレンジの広さとノイズの少なさのバランスが最も良く、今でも一択にしています。
カラーモード:BT.2020 または 709
- YouTubeのHDR配信など、広い色域をそのまま届けたい場合は「BT.2020」
- 最終書き出しがSDR(通常のWeb・SNS)で、編集ソフト(DaVinci Resolveなど)での色再現を楽にしたい場合は「709」
用途に応じてここは柔軟に切り替えるのがおすすめです。
【重要】露出のコツは「適正〜わずかに明るめ(+0.3〜+0.5EV)」
S-Log3のように「+1.7〜+2.0EV」と大幅にオーバーに撮る必要はありません。HLGで明るく撮りすぎると、
編集で明るさを戻したときに不自然な色転びを起こしやすいため、ほぼ適正露出で捉えるのがベストです。
この点はS-Log3とまったく逆の考え方なので、両方を使い分けている方は特に注意してください。
まとめ:時代が変わってもHLGは「コスパ最強」の万能プロファイル
10bit機でのS-Log3全盛の時代だからこそ、逆に効率性と画質を両立できる
HLG(PP10)の価値が再評価されていると感じます。
「編集の手間は減らしたいが、映像のクオリティは落としたくない」というクリエイターの方は、
ぜひ今回ご紹介した設定でHLGの底力を試してみてください。